「またこんなことを考えてしまった」「なんでこんな気持ちになるんだろう」——そう感じたことはありませんか?
頭の中を流れる、止められない思考の波。それがエゴと呼ばれるものです。でも、ここで多くの人が誤解してしまうことがあります。「エゴを追い出さなければ」「手放さなければ」と必死になってしまうこと。
追い出そうとすればするほど、エゴは大きくなる。
もし誰かに「ここから出て行け」と言われたら、あなたはどうしますか?きっと抵抗する
はずです。エゴも同じ。排除しようとする力に対して、必死に抵抗し、むしろ存在感を増してくるのです。
「私はエゴだ」という思い込みが苦しみの根本
苦しみの本当の原因は、エゴそのものではなく、「エゴ=自分自身だ」と思い込んでいることにあります。
たとえば「私は怒っている」と「私は怒りを感じている」では、言葉は似ていますが、意味がまるで違います。前者は怒りそのものと自分が同一になってしまっている状態。後者は、感じている自分と怒りの間に、わずかなスペースがある状態です。
「私は不満だ」ではなく「私の中に不満という感情がある」。ただこれだけで、その感情の重さは手のひらに乗るくらいに小さくなります。
エゴが最も育つ条件とは
エゴが最も勢いよく成長するのは、誰かを敵だと見なしたときです。他者を批判したり、状況に不満を言い続けることで、そのための「思考回路」がどんどん強くなっていきます。これは脳のニューロンのようなもの——使えば使うほど太くなり、通りやすくなる。これは筋トレと同じ。繰り返し筋肉に負荷をかけると、筋肉が発達するように。
怖いのは、それが習慣化されると、幸せな出来事が起きても自然と「不満のルート」に電気が流れてしまうことです。批判や非難は、エゴへの最高の栄養剤なのです。
逆に、相手もエゴにやられているんだと気づけると、不思議と怒りが和らぎます。自分もそうなのだから、あの人もそうなのだ。そう見られるようになったとき、批判という回路への電気信号は自然と流れにくくなっていきます。
「気づく」だけでいい
エゴと戦う必要も、消し去る必要もありません。ただ「あ、またエゴが出てきた」と気づくだけでいいのです。
気づいた瞬間、あなたはすでにエゴから少し離れた場所に立っています。観察している自分こそが、本来の自分だから。強敵として戦う必要はなく、必死に頑張っているちょっと可愛いやつだと思ってあげてください。
許せば許すほど、呼吸がしやすくなる。そんな感覚が、少しずつ積み重なっていきます。

